予約席の沈黙――はると、果たせなかった約束

二度目の食事を約束し、店まで予約した夜。待ち合わせの時間になっても彼女は現れませんでした。マッチングアプリで突然途切れる縁と、返事のない相手を追いかけすぎないための向き合い方を綴った実体験です。

※本記事は実体験をもとに構成しています。登場人物のプライバシーに配慮し、氏名・属性・会話内容・時系列などの一部を変更しています。

※本記事には広告を含みます。紹介するサービスは18歳以上を対象としています。登録によって出会いや交際が保証されるものではありません。最新の料金・利用条件・安全対策は、登録前に公式サイトをご確認ください。


目次

すべて整ったはずの約束

「なにからなにまでありがとうございます! 当日楽しみにしています!」

はるから届いたメッセージには、一点の曇りもない期待がにじんでいた。

最初の顔合わせで会った彼女は、とても感じのよい女性だった。

アニメや映画の話になると会話が弾み、好きな作品について楽しそうに語る。その姿を見ているうちに、私は自然と「もう一度会いたい」と思うようになっていた。

彼女はシフト制の仕事をしていた。

予定を合わせるのは簡単ではなかったが、彼女から「6月4日の夜なら」と提案してくれた。

「仕事が19時までなので、19時15分からでいいかな?」

「もちろん大丈夫です。楽しみです!」

二度目に会う場所として、私は街の喧騒から少し離れた和食店を選んだ。

落ち着いた個室のある店にするか、活気のある人気店にするか。

候補を送り合いながら、

「どっちもおいしそう。迷っちゃいます」

と話す時間も楽しかった。

相談の末、店を予約した。

日時も決まった。

場所も決まった。

彼女も楽しみにしてくれている。

あとは、当日を迎えるだけだった。

マッチングアプリでの約束が、ここまで滑らかに進むことは珍しい。

だから私は、少し安心しすぎていたのかもしれない。


昼下がりの小さな予感

6月4日、約束の日。

午前11時、私は彼女へメッセージを送った。

「今日はよろしくお願いします。楽しみにしています!」

いつもなら、しばらくすれば返事が届く。

しかし、その日は通知が鳴らなかった。

仕事中なのだろう。

忙しくてスマートフォンを見られないだけかもしれない。

そう考えて、私は気にしないようにした。

午後4時。

まだ返信はない。

さすがに少し気になり、もう一度だけ確認のメッセージを送った。

「本日、予定どおりで大丈夫でしょうか?」

胸の奥を、小さな不安がかすめた。

これまでの彼女は、極端に返信が遅い人ではなかった。

シフトの都合で慌ただしくしているのか。

急な仕事が入ったのか。

あるいは、体調を崩してしまったのか。

事情はいくらでも考えられた。

それでも私は、店選びを楽しんでいた彼女の言葉を信じていた。

「当日楽しみにしています!」

あの言葉まで、すべて嘘だったとは思えなかった。


予約時間に現れなかった彼女

午後7時7分。

私は仕事を終え、急いで店へ向かった。

「今から向かいます」

メッセージを送ったが、画面は静かなままだった。

午後7時15分。

予約の時間を迎えた。

私は店の入り口が見える場所に立ち、彼女の姿を探した。

人の流れが途切れるたび、次に現れるのが彼女ではないかと思った。

アニメ映画の公開を楽しみにしていた彼女。

好きな漫画の展開を、熱っぽく語っていた彼女。

店の候補を見ながら「どっちもおいしそう」と迷っていた彼女。

そのどの姿も、そこにはなかった。

午後7時16分。

私は最後のメッセージを送った。

「時間になったので、離れますね」

責める言葉は書かなかった。

理由を問い詰めることもしなかった。

すぐには返信できない事情があるのかもしれない。

だから、こちらから送る言葉はそれだけにした。

結局、彼女がそのメッセージを読むことはなかった。

予約していた個室。

そこで交わすはずだった会話。

注文するはずだった料理。

すでに用意されていた未来が、行き先を失ったまま宙に浮いていた。

私は、夜の街へと引き返した。


理由のない幕切れ

なぜ、彼女は現れなかったのか。

急に体調を崩したのか。

仕事上のトラブルが起きたのか。

約束の直前になって、会うことが怖くなったのか。

それとも、私の知らないところで気持ちが変わっていたのか。

本当の理由は分からない。

連絡が途絶えた相手の事情を、残された側が想像だけで決めつけることはできない。

ただ一つ確かなのは、彼女が予約した店に現れず、その後も連絡がなかったということだけだ。

マッチングアプリでは、ときに「昨日までの真実」が一瞬で消えてしまう。

どれほど丁寧にやり取りを重ねても、どれほど順調に約束が決まっても、相手が画面を閉じれば、その縁はそこで止まる。

店を選んだ時間も、楽しみにしていた気持ちも、なかったことにはならない。

けれど、それらを一人で抱えたまま、先へ進まなければならないことはある。


返事がないとき、追いかけすぎない

この経験から学んだのは、約束が順調に決まったからといって、当日まで確実に会えるとは限らないということだった。

もちろん、相手を最初から疑う必要はない。

ただ、当日の確認に返事がない場合は、何度もメッセージを送らず、一定のところで区切りをつけたほうがよい。

私なら、次のように対応する。

  • 当日の午前中に、一度だけ確認する
  • 返信がなければ、約束の数時間前にもう一度連絡する
  • 約束の時間を過ぎても現れなければ、短いメッセージを残して離れる
  • 店を予約している場合は、早めに店へ事情を伝える
  • その後も連絡がなければ、執拗に追いかけない

相手に事情があれば、落ち着いてから連絡が来るかもしれない。

連絡が来なければ、それも一つの答えだ。

誠実に向き合うことと、自分の時間や心を守ることは両立できる。


「楽しみです」という言葉の行方

私は一人で帰路についた。

あれほど弾んでいたメッセージを読み返すと、自分だけが別の時間軸に取り残されたような感覚になった。

彼女と過ごすはずだった夜は、始まることなく終わった。

予約席に残ったのは、料理でも会話でもない。

説明のつかない沈黙だけだった。

「楽しみです」という言葉は、いつ、誰の画面で失効したのだろう。

その答えはもう、この街のどこにも残っていない。

それでも、答えのない別れに慣れることも、マッチングアプリで出会いを探す過程の一部なのかもしれない。

私はスマートフォンをポケットにしまい、彼女のいない夜を歩き始めた。

果たせなかった約束だけを、予約席に残して。


この体験で利用したマッチングアプリ

このとき利用していたのは、18歳以上を対象としたマッチングサービス「paters」だった。

予定が決まっていても、必ず相手と会えるわけではない。これはpatersに限らず、オンラインで出会いを探すサービス全般にいえることだ。

登録前には、料金体系や本人確認、安全対策、利用規約を確認してほしい。

また、初めて会うときは人目のある場所を選び、相手に違和感を覚えた場合は無理に会わないことも大切だ。

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この記事を書いた人

「余白の恋」著者。
40代でマッチングアプリという未知の世界へ。実体験をもとに、大人の恋愛と出会い、そして自分を整えることについて綴っています。焦らず、執着せず、それでも少しだけ心が動く。そんな恋の余白を記録します。

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