※本記事は実体験をもとに構成しています。登場人物のプライバシーに配慮し、氏名・属性・会話内容などの一部を変更しています。
※本記事には広告を含む場合があります。サービスの利用は18歳以上に限られます。実際に会う際は、安全を最優先に行動してください。
姿の見えない待ち合わせ
「すみません、職場から電話が来て……」
夏の夜。
指定されたコンビニの前で、私は「まり」を待っていた。
彼女とは、Jメールを通じて知り合った。
事前のメッセージでは話が早く、会うことに対しても前向きだった。
「楽しみすぎる」
そんな言葉さえ届いていた。
ところが待ち合わせの時間になっても、彼女は姿を見せなかった。
「もう少しで終わるから」
「外で待っていて」
連絡は来る。
しかし、何が起きているのかは分からない。
アスファルトから立ち上る熱気の中で、私は実体のない影を追いかけているような焦りを感じていた。
帰ろうと思えば、いつでも帰れた。
むしろ、違和感を覚えた時点で引き返すべきだったのかもしれない。
それでも私は、その場を離れられなかった。
すでにかなりの時間を使っている。
ここで帰れば、それまで待った時間がすべて無駄になる。
そんな考えに縛られていた。
典型的なサンクコストだ。
費やした時間を惜しむあまり、さらに時間を差し出そうとしていた。
メッセージとは違う温度
一時間近く待ったころ、ようやく彼女が現れた。
「お待たせ。行こっか」
謝罪は短く、口調は驚くほど淡々としていた。
メッセージの向こうにいた、あれほど熱量の高かった女性とは、どこか別人のように見えた。
彼女は慣れた様子で歩き始めた。
私はその細い背中を追いながら、拭いきれない違和感を抱えていた。
やがて私たちは、二人きりで話せる場所へ向かった。
彼女は道に迷うこともなく、立ち止まることもなかった。
一方の私は、ようやく会えた安堵と、まだ消えない警戒心の間で揺れていた。
あれほど楽しみにしていると言っていた彼女は、今、何を考えているのだろう。
その答えは、横顔からは読み取れなかった。
冷えた部屋と、決められた流れ
部屋に入った瞬間、空気が変わった。
そこにあったのは、期待していた高揚感ではない。
効率だけを優先した作業が始まる前のような、無機質な静けさだった。
「シャワーを浴びて、横になっていて」
その言葉は、親密な誘いというより、決められた手順の説明のように聞こえた。
言われるままにシャワーを浴び、ベッドへ横になる。
清潔なシーツは、冷房の風を含んでひんやりとしていた。
火照っていた身体とは反対に、気持ちは少しずつ冷静になっていった。
彼女は、自分のすべてをさらけ出そうとはしなかった。
近くにいながらも、越えさせない境界線を残している。
その姿を見て、私はこの時間が感情を交わすためのものではなく、彼女のなかですでに形の決まったものなのだと感じた。
会話にだけ残っていた人間味
彼女は私の隣に腰を下ろすと、ごく自然に世間話を始めた。
その日に起きた出来事。
仕事に対する愚痴。
最近見た動画の話。
話している彼女は明るく、どこにでもいる普通の女性に見えた。
だが、会話の親しみやすさとは裏腹に、距離の縮め方には驚くほど迷いがなかった。
一つひとつの動きが整いすぎていて、私の反応を確かめるというより、決められた流れを進めているように感じられた。
身体の距離は近づいている。
それなのに、心は少しも近づいていない。
その不釣り合いな状況に、私は高揚よりも戸惑いを覚えていた。
「……ねえ、緊張してる?」
ふと、彼女が私の顔を覗き込んだ。
その瞬間だけ、彼女の表情から無機質さが消えたように見えた。
それが本当の気遣いだったのか、場を進めるための言葉だったのかは分からない。
それでも、作業のように感じていた時間の隙間から、一人の人間としての彼女がわずかに顔をのぞかせた。
私はその小さな変化に、かえって強く心を揺さぶられた。
身体より先に、心が止まった
主導権は、最初から最後まで彼女の側にあった。
私は彼女の作った流れに乗りながら、自分の希望を口にできずにいた。
もっとゆっくり話したい。
もう少し互いの気持ちを確かめたい。
そんな簡単な言葉さえ、完成された手順を邪魔するような気がして、喉の奥に引っかかった。
やがて私は、気持ちがまったく追いついていないことに気づいた。
身体の問題ではなかった。
心だけが、待ち合わせをしていたコンビニの前に置き去りにされていたのだ。
「……ごめん。今日は難しそう」
私がそう伝えると、彼女は一瞬だけ困ったような表情を見せた。
しかし、理由を尋ねることも、責めることもなかった。
すぐに何かを理解したように、静かに頷いた。
その反応にも、感情を読み取ることはできなかった。
違和感を、費やした時間で打ち消さない
ホテルを出たあと、夜風に吹かれながら、私は言葉にならない虚しさを感じていた。
会うまでに長く待った。
だから、ここまで来たのだからと先へ進んだ。
けれど、費やした時間の長さは、その後の選択を正当化してくれるものではない。
待ち合わせの段階で不自然な状況が続いたら、帰ってもいい。
会ってみて違和感が消えなければ、予定を変更してもいい。
一度同意したことでも、気持ちが変われば立ち止まっていい。
これはマッチングサービスを利用するとき、忘れてはいけないことだと思う。
特に初めて会う相手とは、まず人目のある場所で話し、互いの雰囲気を確かめたほうがいい。
事前のメッセージがどれほど盛り上がっていても、画面の中の熱量と、実際に会ったときの温度が同じとは限らないからだ。
蜃気楼のあとに残ったもの
姿を見せない相手を待ち続ける時間も怖い。
しかし、目の前にいながら最後まで心の内側を見せない相手と過ごす時間にも、別の種類の孤独がある。
それでも、淡々とした会話のなかで垣間見えた彼女の人間味だけは、今も妙に記憶に残っている。
仕事の愚痴を話した声。
最近見た動画について笑った顔。
そして、私の緊張に気づいた一瞬のまなざし。
すべてが演じられたものだったとは思わない。
かといって、そこに特別な感情があったとも言い切れない。
割り切ろうとする気持ちと、割り切れない人間らしさ。
その隙間に触れたからこそ、この夜は単なる苦い経験として片づけられずにいるのだろう。
Jメールで出会ったまりは、蜃気楼のような女性だった。
近づけば姿は見える。
けれど、触れられる距離まで来ても、その心がどこにあるのかは分からない。
私の大人の恋愛の記録に、また一つ。
答えの出ない、冷たくて奇妙な一ページが書き加えられた。
Jメールは、違和感を見逃さずに使いたい
今回の出会いには、待ち合わせの時点からいくつもの違和感があった。
それでも、Jメールを利用したことで、普段の生活では接点のなかった相手と実際に会えたことも事実だ。
サービスを利用するうえで大切なのは、相手の言葉をすべて信用することでも、最初から疑ってかかることでもない。
メッセージを重ねながら、会話がかみ合っているかを確かめること。
初めて会うときは人目のある場所を選ぶこと。
不自然な要求や予定変更が続いたら、費やした時間を惜しまずに立ち止まること。
そして、相手との距離を進めるかどうかは、その場の雰囲気に流されず、自分の意思で決めることだ。
Jメールは、登録しただけで理想の相手に会えるサービスではない。
しかし、相手を冷静に見極め、自分のペースを守って利用できる人なら、新しい出会いのきっかけにはなり得る。
どのような人が利用しているのか気になる方は、料金や利用条件、安全への取り組みを確認したうえで、自分に合うか判断してほしい。
Jメールを実際に使った感想や料金、利用時の注意点は、以下のレビュー記事で詳しく紹介しています。

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