※本記事は実体験をもとに構成しています。登場人物のプライバシーに配慮し、氏名・属性・会話内容などの一部を変更しています。
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42歳のとき、僕は初めてマッチングアプリに登録した。
人生は、すでに折り返し地点を過ぎている。
振り返れば、仕事を優先する時間が長く、恋愛に十分な時間を使ってきたとは言えなかった。
それでも、このまま何も変わらないことには、どこか物足りなさを感じていた。
新しい人と出会ってみたい。
これまで知らなかった価値観に触れてみたい。
そんな気持ちで、僕はマッチングアプリという未知の場所へ足を踏み入れた。
最初にマッチングした女子大生
最初にマッチングしたのは、「あやね」という成人した大学4年生だった。
ケーキ店と居酒屋のアルバイトを掛け持ちしながら、すでに就職先も決まっている。卒業までの時間には、比較的余裕があるという。
「バイト、大変そうだね」
僕がそう送ると、彼女はアルバイトを続けている理由を教えてくれた。
「奨学金もあるので。落ち着いて話せる、少し年上の人と出会えたらと思って」
その言葉には、媚びたところも、妙な隠しごとも感じられなかった。
「年上の人も大丈夫です。でも、お互いのことを知ってからですよ。人間なんだから」
その言葉が、妙に印象に残った。
彼女は、条件だけで相手を選びたいわけではない。
かといって、現実的な事情をすべて切り離して、恋愛だけを考えられるわけでもない。
現実と感情の間に引かれた曖昧な線が、かえって正直に思えた。
彼女は、まだ本当に会いたいと思える相手には出会えていないとも話していた。
以前会った男性とは、今も連絡が続いている。しかし、自分にはもう会う意思がないのに、何度も誘われて困っているという。
「もう会う気がないから、察してほしいんですよね」
そう言って、彼女は苦笑した。
僕は、
「相手の気持ちを無視して追いかけるのはよくないよね」
と返した。
そのときの僕は、この言葉が後になって自分へ返ってくるとは思っていなかった。
同じアイコン、違う景色
会話はスムーズだった。
次は一緒に食事へ行こうという話になり、彼女がエスニック料理を苦手としていることも分かった。
好きな食べ物や休日の過ごし方など、少しずつ相手の輪郭が見えてくる。
そんなやり取りのなかで、僕の思い込みを自覚させられる出来事があった。
彼女のLINEアイコンに使われていたのが、三上悠亜さんの写真だったのだ。
僕らの世代にとって、その名前には特定の印象がある。
そのため僕は、一瞬だけ、彼女の考え方や恋愛観まで勝手に想像しかけた。
けれど、実際はまったく違っていた。
彼女にとって三上悠亜さんは、多くの女性から支持されるインフルエンサーであり、美容やファッションの面でも憧れている存在だった。
同じアイコンを見ているはずなのに、42歳の僕と20代の彼女では、そこに見えている景色がまるで違う。
もし自分の思い込みだけで不用意な発言をしていたら、その瞬間に会話が終わっていたかもしれない。
年齢を重ねることと、相手の感覚を理解できることは同じではない。
むしろ経験があるからこそ、
「自分の解釈は本当に合っているのか」
と、一度立ち止まる必要がある。
プロフィール写真やアイコンだけで、その人の恋愛観や利用目的を決めつけてはいけない。
当たり前のことだが、僕はこのとき、初めて実感として理解した。
「察してほしい」の意味
結局、あやねと会うことはなかった。
LINEは交換したものの、僕の誘い方が煮え切らなかったのか、彼女の熱量は少しずつ下がっていった。
「今度、食事に行こう」
そう話しながら、僕は具体的な日時や場所をなかなか提案できなかった。
断られるのが怖かったのかもしれない。
あるいは、年齢差を意識しすぎて、慎重になっていたのかもしれない。
やがて返信の間隔が空くようになり、短い返事だけが届くようになった。
もう、彼女のことは諦めよう。
そう思ったとき、以前の会話が頭に浮かんだ。
「もう会う気がないから、察してほしいんですよね」
今度は、僕が察する番だった。
マッチングアプリでは、好意にもタイミングがある。
慎重であることと、決断できないことは、似ているようで違う。
「今度、会いたいね」
そんな曖昧な言葉だけでは、相手の気持ちをつなぎ留められないことがある。
大切なのは、強引に距離を詰めることではない。
相手の反応が前向きなうちに、具体的な日時や場所を提案すること。
そして、反応が薄れたときには、相手の意思を尊重して追いかけすぎないことだ。
僕は、彼女を深追いしなかった。
当時は、自分の行動が正しかったのか分からなかった。
しかし今振り返れば、会いたくない相手から何度も連絡が来ることに、彼女自身が困っていた。
その話を聞いていた以上、僕まで同じことをするべきではなかったと思う。
最初の出会いから学んだこと
あやねとは会えなかった。
それでも、この出会いが無駄だったとは思っていない。
若い世代との感覚の違いを知り、自分の思い込みを修正する機会になったからだ。
マッチングアプリでは、プロフィールに書かれた短い文章や一枚の写真から、相手のことを想像する。
しかし、その想像が正しいとは限らない。
自分にとって馴染みのある言葉や写真でも、相手にとってはまったく別の意味を持っていることがある。
そして、会いたいと思ったなら、相手の負担にならない範囲で具体的に誘う必要がある。
一方で、反応が薄れたときには、無理に追わない。
この二つの判断を両立させることが、マッチングアプリでは意外に難しい。
スマートフォンを置き、短く息を吐いた。
42歳の恋は、勢いだけでは進めない。
けれど、立ち止まっているだけでも何も始まらない。
僕はもう一度スマートフォンを手に取り、次の出会いへ指を滑らせた。
42歳の最初の一歩は、こうして静かに終わった。
そして、本当の物語はここから始まる。
この体験で利用したマッチングアプリ
このとき僕が利用していたのは、18歳以上を対象としたマッチングアプリ「paters」だった。
実際に使ってみると、年齢の離れた相手とも会話を始めやすい一方で、マッチングしただけで必ず会えるわけではないことも分かった。
相手の利用目的や温度感を確認し、個人情報の取り扱いにも注意しながら、無理のない範囲で利用することが大切だ。
patersを42歳で利用した感想や、良かった点、注意したい点については、次の記事で詳しくまとめている。
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