「早く会いたい」―条件から始まった彼女と、一線を越えた夜

春の夕暮れに待ち合わせ場所へ向かう男女のイラスト

※この記事は実体験をもとに構成しています。登場人物のプライバシーに配慮し、氏名・属性・会話内容、関係の詳細などの一部を変更しています。

※本記事には広告を含みます。紹介するサービスは18歳以上の方を対象としています。出会いや交際の成立を保証するものではありません。料金やサービス内容は変更される場合があるため、利用前に公式サイトをご確認ください。

目次

最初に確かめたこと

「さりなです」

スマートフォンの通知画面に現れた名前は、これまでアプリで出会ってきた誰よりも潔く、どこか冷ややかな手触りがした。

プロフィール写真に写る彼女は、すらりとしたモデル体型だった。

凛とした顔立ちと、都会の喧騒さえさらりと着こなすような、洗練された空気をまとっていた。

初めて顔を合わせた日、実物の彼女は写真以上に「完成」されていた。

無駄のないラインの服。

手入れの行き届いた髪と指先。

それでも近寄りがたい雰囲気はなく、話してみると意外によく笑った。

別れたあと、彼女からメッセージが届いた。

「またお会いしたいです」

私は素直に胸を躍らせた。

二度目の約束について話し始めると、彼女は控えめに、それでいて曖昧さのない言葉で、自分が望む会い方を伝えてきた。

会う頻度。

連絡の取り方。

お店や過ごし方に対する考え。

具体的な内容は伏せるが、彼女には人と会ううえで大切にしている、いくつかの前提があった。

一方的に要求するのではなく、私の考えも確認しながら、丁寧に話そうとしていることは伝わってきた。

私は、自分が納得できる範囲を考えたうえで、その提案を受け入れた。

誰かとの関係を始めるとき、大切にしたいことは人によって違う。

曖昧なまま期待を重ねるより、最初に互いの考えを確かめておくほうがいい。

彼女との関係は、そんな現実的な確認から始まった。

焼き鳥と、遠い横顔

彼女のリクエストに応えて、次に会う店を選んだ。

「イタリアンより和食がいいな。できれば焼き鳥」

夜の街の片隅にある焼き鳥店。

白い煙が漂う店内で、彼女は慣れた手つきでIQOSを指に挟み、苦手だというトマトを避けながら串を頬張った。

彼女は、美容に強い関心を持っていた。

韓国で受けてみたい施術があること。

体型を維持するため、食事や運動にも気を配っていること。

自分が理想とする姿でいるために、時間と労力を惜しまない女性だった。

美容へのこだわりを話す彼女と、煙の立つ焼き鳥店。

その組み合わせが、妙に人間らしく見えた。

彼女は美しかった。

それでも、私の隣にいる彼女は、どこか遠かった。

最初に確認した互いの前提が、目には見えない境界線として、二人の間に残っていたからだ。

笑い合っている。

同じ料理を食べている。

けれど、この時間を私たちは同じ意味で受け取っているのだろうか。

その答えは、まだ分からなかった。

すれ違うクリスマス

十二月。

街はイルミネーションと、恋人たちを急き立てるような喧騒に包まれていた。

ところが、私たちの予定はなかなか合わなかった。

私は仕事に追われて体調を崩し、彼女にも外出が難しい事情が重なった。

「クリスマス、会えることを願ってます」

熱に浮かされながら見つめたそのメッセージは、どんな薬よりも胸に深く染み込んだ。

どうにか体調を戻し、迎えたクリスマスイブ。

街には人があふれ、タクシーさえ簡単には捕まらなかった。

ようやく顔を合わせた私たちは、喧騒から逃れるようにカウンターの隅へ座った。

「次は、もっとゆっくり会いたいね」

まだ来ていない未来の約束を交わした。

酒が進むにつれ、会話は少しずつ熱を帯びていった。

これから、どのような関係を築いていきたいのか。

どこまで距離を近づけたいのか。

焦らず、曖昧にもせず、互いの気持ちを静かに確かめた。

関係を進めるかどうかは、条件とは別の話だ。

相手の意思と自分の気持ちが一致して、初めて決められることだと思った。

会えない時間が、期待を育てる

年が明けても、私たちは思うように会えなかった。

免疫が落ちていた私は、リンパの腫れと体中に広がる発疹に苦しめられた。

弱っていく私を気遣うように、彼女は優しい言葉を送り続けてくれた。

「治ってからで大丈夫ですよ」

「今は自分を一番大事にしてくださいね」

その優しさに甘え、ようやく回復したと思った矢先、今度は身内の不幸が重なった。

会えそうで、会えない。

指の隙間から時間だけがこぼれ落ちていく。

けれど皮肉なことに、その空白が、二人の期待を少しずつ膨らませていった。

二月。

ようやく再会できたのは、鮮魚が自慢の店だった。

カウンターに並んで座った直後、彼女は申し訳なさそうに切り出した。

「今日は、お食事だけでもいいですか?」

彼女にも体調や事情がある。

私は理由を深く尋ねず、「もちろん」と答えた。

期待していた時間は、もう少し先へ延びた。

それでも、不思議と落胆はなかった。

旬の刺身を囲み、背の高い彼女と笑い合う時間は、それだけで十分に甘い余韻を残してくれた。

その夜を境に、彼女から届くメッセージは明らかに温度を変えた。

「早く会いたい」

「もう待ちきれない」

現実的な確認から始まった関係に、それだけでは説明できない体温が混じり始めていた。

私たちは三月下旬、もう一度ゆっくり会う約束をした。

二人の距離が変わった日

三月下旬。

春の陽気が街を包み始めた午後だった。

待ち合わせ場所は、繁華街の角にある見慣れたコンビニ。

私はサングラスの下で緊張を隠しながら、呼吸を整えていた。

少し遅れて現れた彼女と合流する。

私たちは言葉少なに、約束していた場所へ向かった。

そこで何があったのか、具体的に書くつもりはない。

ただ、互いの意思を確かめ、二人が納得したうえで、それまでよりも近い距離で同じ時間を過ごした。

あれほど長く待ち続けたのに、その時間が始まると、すべては驚くほど早く過ぎていった。

その夜。

一人になった私のもとへ、彼女からメッセージが届いた。

「今日は会えて本当によかった。ぐっすり眠れそうです」

翌朝には、もう一通届いていた。

「昨日で、ぐっと仲良くなれた気がして嬉しいな」

その言葉を、私は何度も読み返した。

あの瞬間、私たちの気持ちは確かに通じ合った。

そう思いたかった。

理想の自分を追い続ける彼女と、その姿に惹かれた私。

最初に確かめた現実的な前提の隙間に、一瞬だけ、それとは別の感情が芽生えたのだと信じたかった。

消えなかった境界線

四月。

私を襲ったのは、不治の恋ではなく、百日咳だった。

激しい咳で夜も眠れず、彼女と会える状態ではなくなった。

苦しむ私に、彼女はそっと寄り添うようなスタンプを送ってくれた。

「無理しないでね。私は大丈夫なので」

その言葉を最後に、私たちのやり取りは少しずつ途切れていった。

二人の距離は、一度確かに近づいた。

気持ちも、重なっていたと思う。

それでも、この関係が永遠に続くものではないことを、私は最初からどこかで理解していた。

互いの希望を確認するところから始まった関係は、会えない時間が長くなるほど、驚くほど静かに形を失っていった。

甘さはあった。

優しさもあった。

けれど、二人の間にあった境界線は、最後まで完全には消えなかった。

彼女が韓国で手に入れる新しい美しさを、私はもう、この目で見ることはないのだろう。

三月のあの日に感じた、言葉では説明できない近さだけが、今も胸の奥に淡い熱として残っている。

止まらなかった咳の余韻とともに。

この体験から学んだこと

マッチングアプリでは、恋愛に求めるものも、心地よい距離も、人によって違う。

最初に互いの希望を伝え合うことは、決して冷たい行為ではない。

むしろ曖昧な期待を抱えたまま会うよりも、相手の意思を尊重しやすくなる。

ただし、会うための前提と、親密な関係へ進むことは分けて考えなければならない。

どのような関係であっても、相手の同意をその都度確認し、無理をさせないことが大切だ。

そして、少しでも不安や違和感がある場合は、会うことを急がないほうがいい。

彼女との関係は長く続かなかった。

それでも、条件だけでも感情だけでも、人と人との関係は説明できないことを教えてくれた。

あの日の「早く会いたい」という言葉まで、嘘だったとは思っていない。

この体験で利用したマッチングアプリ

このとき私が利用していたのは、18歳以上を対象としたマッチングアプリ「paters」だった。

実際に利用して感じた特徴や注意点については、別の記事で詳しくまとめている。

42歳でpatersを使った正直な感想を読む

複数のサービスを比較して、自分に合うアプリを選びたい方はこちら。

40代男性向けマッチングアプリの比較記事を読む

※サービスの利用は18歳以上に限られます。出会いや交際の成立を保証するものではありません。相手の意思とプライバシーを尊重し、最新の料金、利用条件および安全対策を公式サイトで確認したうえでご利用ください。

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この記事を書いた人

「余白の恋」著者。
40代でマッチングアプリという未知の世界へ。実体験をもとに、大人の恋愛と出会い、そして自分を整えることについて綴っています。焦らず、執着せず、それでも少しだけ心が動く。そんな恋の余白を記録します。

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